健康・不健康の分かれ道、フレイル

フレイルとは、日本老年医学会が2014年に提唱した概念で、加齢により心身が老い衰えた状態、つまり虚弱のことをいいます。気力の低下など精神的な変化や人との関わりといった社会的なものも含むため、フレイルになると、病気にかかりやすくなり死亡率が上昇します。

厚生労働省によれば「加齢とともに心身の活力(運動機能や認知機能など)が低下し、複数の慢性疾患があったりする影響により、生活機能が障害され、心身の脆弱性が出現した状態」とされていますが、フレイルは健康な状態と介護状態の中間にあたるため、適切な介入や支援により生活機能を維持向上させることもできます。

フレイルの診断基準では、以下の5項目のうち1または2項目が該当すればフレイルの前段階のプレフレイル、3項目以上該当すればフレイルと判断されます。

(1)体重減少(6ヵ月で2〜3kg以上の体重減少)
(2)筋力低下(握力:男性26kg以下、女性18kg以下)
(3)疲労感([この2週間に]わけもなく疲れたような感じがする)
(4)歩行速度(通常歩行が1.0m/秒以下)
(5)身体活動(軽い運動や定期的な運動・スポーツを週1回もしていない)

フレイルの予防には3つの柱があり、タンパク質を摂り栄養のバランスを保つこと、ウォーキングや筋トレなどで運動をすること、就労やボランティア活動などの社会参加です。40歳を超えたらフレイルを意識して予防することが大切です。

 

※本稿は、『健康寿命をのばす! 整形外科医のカラダの痛み相談室』(創元社)の一部を再編集したものです。


健康寿命をのばす! 整形外科医のカラダの痛み相談室』(著:井尻慎一郎/創元社)

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