(写真提供:Photo AC)
世界保健統計2023年度版によると、日本人の健康寿命(健康上の問題で日常生活に制限のない期間)は、男性が72.6歳、女性が75.5歳でした。しかし平均寿命のほうがはるかに長く、その差は男女でそれぞれ約9年、約12年あります。要介護や寝たきりの期間が長い傾向にある中、これらを予防し「寿命の質」を高めるためには、どうすれば良いのでしょうか?そこで今回は、これまで5万3000人以上の患者に寄り添ってきた整形外科医・井尻慎一郎先生の著書『健康寿命をのばす! 整形外科医のカラダの痛み相談室』より、今日からできる健康のヒントを一部ご紹介します。

平均寿命と健康寿命

「健康寿命」とは、平均寿命から要介護や寝たきりの期間を引いた寿命、つまり自立して生きることのできる寿命です。

世界保健統計2023年度版によると、日本人の健康寿命は、男性が72.6歳(平均寿命は81.5歳)、女性が75.5歳(平均寿命は86.9歳)で、健康寿命は年々長くなっています。世界保健機関(WHO)によれば、日本の健康寿命の長さは男女ともに世界で一番です。

しかし、そんな日本人でも健康寿命と平均寿命の差(要介護か寝たきりの期間)は男性が8.9歳、女性は11.4歳(平均で人生の約8分の1)もあります。いくら長生きしたとしても、一度寝たきりになってしまうと本人や家族のストレスや経済的負担が一気に増大します。

厚生労働省の「国民生活基礎調査」によると、寝たきりの原因の上位3つは、認知症、運動器の障害、脳血管障害です。それ以外にも寝たきりの原因はありますが、適切な栄養を摂り、ウォーキングなどの運動をして、なるべくストレスのないような生活を心がけることが健康寿命の延伸につながります。

生物はいつか死にます。それならば、ぜひ元気に最期を迎えるようにしましょう。