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世界保健統計2023年度版によると、日本人の健康寿命(健康上の問題で日常生活に制限のない期間)は、男性が72.6歳、女性が75.5歳でした。しかし平均寿命のほうがはるかに長く、その差は男女でそれぞれ約9年、約12年あります。要介護や寝たきりの期間が長い傾向にある中、これらを予防し「寿命の質」を高めるためには、どうすれば良いのでしょうか?そこで今回は、これまで5万3000人以上の患者に寄り添ってきた整形外科医・井尻慎一郎先生の著書『健康寿命をのばす! 整形外科医のカラダの痛み相談室』より、今日からできる健康のヒントを一部ご紹介します。

骨粗しょう症はなぜ起こる?

骨粗しょう症は骨のカルシウムが少なくなり、骨折しやすくなる病気です。国内には約1300万人の患者がいると推測されており、高齢になるほど骨を作る機能が低下し、発症しやすくなります。骨折は転倒や軽徴な動作、咳やくしゃみでも起き、寝たきりの原因の4位になっています。

また、女性ホルモンにはカルシウムを維持する働きがあり、閉経後や50歳を超える頃から女性は急速に骨が弱くなり骨粗しょう症になりやすいので、定期的に骨密度を測り、自分の状態をこまめにチェックしましょう。

ほかにも、腸管からのカルシウムの吸収を助けるビタミンDの不足や運動不足、過度なダイエットなども骨粗しょう症の原因になります。健康寿命を延ばすには病気の予防が大事といわれていますが、重大な合併症である骨折を予防するためにも、骨粗しょう症を治療することは大切なのです。

骨粗しょう症の予防は、若い頃から骨を丈夫にしてカルシウムを貯めておくのがベストですが、中高年からでも適度な運動やカルシウムの多い食事を心がければ間に合います。また、骨粗しょう症と診断されたら、なるべく早く治療を始めるべきです。基本は運動と食事療法で、1日の合計で30〜40分程度ウォーキングするのがお勧めです。

最近は様々な薬剤も使えるので整形外科や内科の医師に相談するのもよいでしょう。