犬として大切なことを知って
で、もっとすごいのは、三四郎は犬だから外を歩くのが仕事。ぼくは裸足で外を歩くなんてそんなバッチーこと我が子にさせられなくて、安全地帯まで抱っこしていき、安全そうな綺麗な場所で最初は遊ばせていたのだけど、というのはご存じの通り、フランスの歩道は日本の歩道とは比較にならないくらい汚いからである。
犬の糞(ふん)を片付けない不届きな飼い主もいるので、それを踏んづけた人の足跡も続いているし、とにかく不衛生極まりないのである。
どんなウイルスが地面で繁殖しているかわからず、ぼくは想像しただけでひっくり返りそうになっていたのだけど、三四郎が外を歩くのが犬として大切なこと、外でうんちやおしっこをするのが当たり前のこと、を知るに従い、そうさせなきゃいけない、という気持ちが神経質な性格に勝っていったのである。
そこで、家から出ると、三四郎を地面に置き、リードを引っ張って歩かせるようになった。ご存じのように、歩道には犬の糞やおしっこの痕がそこら中に付着、こびりついているので、一応、そこはいちいち抱えて通過はしているけれど、ともかく、三四郎が地面を歩くことにも慣れてきた。
もちろん、家に帰ると、ものすごく神経質に濡れタオルで足を拭いてやっているけど、最近はそれで済むようになった。
ひと月ほど前は散歩から戻るたびに、風呂場で足だけ洗っていたのだ。やれやれ。