「ダメなものはダメ」が分かる大人に

僕たち大人には、自分の歩んできた道を否定したくないプライドがあります。

僕自身ときどき、ちょっとした悪さをしたことも含めて自分の歩んできた道を美化しているかもしれない、と思うことがあります。

でも、「ダメなものはダメ」。それをちゃんと分かる大人になっていくことが大切だと思います。

「福祉関係の仕事につきたい人は、学校の掃除を一生懸命にする」
「人の命を守る医者になろうとしている人は、必死になって勉強する」

どっちも、当たり前のこと。

「掃除もまともにやったことがないのに、福祉の仕事につく」
「ほとんど勉強をしていないのに、医者の仕事につく」
(そんなこと、本来ありえないはずだけど……)

その方が、よほど問題だと思うのです。

まじめでもOK。ガリ勉でもOK。

堂々とまじめに生きようとする人、一生懸命に努力し、なにかに打ち込める人、そして、友達のこうした努力を素直に応援できる人は、とても素敵な存在だと思います。

 

※本稿は、『考える。動く。自由になる。-15歳からの人生戦略』(実務教育出版)の一部を再編集したものです。


考える。動く。自由になる。-15歳からの人生戦略』(著:工藤勇一/実務教育出版)

勉強、学び、受験、学校、社会、人間関係……。先の見えない時代、そして正解のない時代を、若者はどう生きていくべきか。

校長として40年間教育現場の先頭に立ち続け、子どもたちが自由に生きていくための学校改革を行ってきたカリスマ校長・工藤勇一氏が、初めて子どもたちに向けて書いた、親子で読みたい哲学書の決定版!