「悪い行い」で人生経験は深まらない
「本当はいいやつなんだけど……」
生徒が問題を起こしたとき、生徒たちはときどきこういう言葉を使います。
その一方で、生徒たちの中には「あいつ、マジメすぎるんだよな」とか「あいつガリ勉なんだよな」などと、まじめに誠実にやっている人をさげすむ言葉を使うこともあります。
大人の社会でも、「多少のやんちゃができた方がいい」などという言葉がしばしば使われます。
また、テレビやYouTubeで有名な人の中には「10代のころは暴走族に入っていました」などと自慢げに話をする人がいます。
しかし、たとえ若いころに悪さをしていたとしても、「あのときはバカだった。迷惑をかけて申し訳なかった」、「二度とあのころには戻りたくない」と伝えていればまだいいのですが、その言葉がない人をたまに見ます。
君には勘違いしてほしくないのですが、「悪い行い」をすることで人生経験が深まる、なんてことはありません。
そのときの苦しみ、のちに得た教訓をプラスに変えてこそ、経験に意味も出てくるのです。どんな理由があったとしても、人に迷惑をかけたり、傷つけたりしていいわけがないし、ましてや自分の体験を深めようとするための悪さが許されるはずがないのです。