電力の需要増とエネルギーのあり方
竹内環境の面から見ると、地球温暖化という由々しき事態が進んでいます。去年は秋まで真夏のような猛暑が続きました。最近の気候について、何か実感することはありますか。
大島日本の四季が、夏と冬だけの「二季」になってしまったような異常気象が続いています。最近の暑さは命の危険が伴いますから、母には、我慢しないでエアコンを使うように伝えています。
竹内そのエアコンには電気が必要ですが、普段の生活で電気について考えることはありますか?
大島娘が学校でパソコンやタブレットを使い、宿題もメールで提出しているのを見ると、電気がないと勉強もできない時代になったんだなと。エアコンもですが、電気は生活に欠かせないものだと感じています。ぜひこの機会に、日本の電気やエネルギーの事情について、おうかがいしたいです。
竹内日本では、国がエネルギー政策の中長期的な方向性を示すために「エネルギー基本計画」というものを策定しており、今年2月に新たに「第7次エネルギー基本計画」が定められました。今回の計画のなかでは、エネルギーの安定供給を第一として、経済効率性の向上や脱炭素化も進めていくことが示されています。また、2040年度時点の電源構成も示されていて、水力、太陽光、風力発電などの再生可能エネルギーは4~5割程度、原子力発電は2割程度、火力発電は3~4割程度と、特定の電源や燃料に依存しない、バランスを考慮した電源構成となっています。
大島日本はエネルギー資源に乏しいうえ、島国で近隣国と送電線がつながっていないため、必要な電気はすべて国内で発電しないといけないなど、他国とは事情が違うと聞いたことがあります。
竹内だからこそ、国際情勢に左右されない国産エネルギーである再生可能エネルギーと準国産エネルギーの原子力発電を最大限活用していく必要があります。加えて、太陽光や風力発電の発電量の変動に対応して発電量を調整できる火力発電も必要というわけです。

大島なるほど。いろいろな電源をバランスよく組み合わせることが大事なのですね。
竹内今回の基本計画では、今後電力需要が確実に増えていくとされている点も注目です。前回の計画では、人口減少や省エネ効果などで電力需要は減っていくという想定でした。増加に転じたのは、さきほども話に出たAIの普及などにより、大量の電力を必要とするデータセンターや半導体工場の建設が予想されるからです。
大島今後の電力需要の増加にも対応しつつ、安定供給と脱炭素化の実現に向けて、電源のバランスを考えなければならないのですね。
竹内その現状認識は、とても大事だと思います。簡単なことではありませんが、次の世代のためにも今われわれが行動しないと。
大島家では、娘に「電気つけっ放しだよ」と言われることも(笑)。今日はいろいろなお話をうかがって、大人としてお手本になるように、と気持ちを新たにしました。身近なことから始めたいですね。
竹内これからも情報を伝える立場で、ますますのご活躍を期待しています。

大島 由香里(おおしま・ゆかり)
1984年神奈川県生まれ。成城大学経済学部卒業。2007年フジテレビ入社。『ニュースJAPAN』『新報道2001』などでキャスターを歴任。17年に退社してフリーに。23年4月、TOKYO MXの『5時に夢中!』のMCに就任。ラジオ番組『ECOLIFE~幸せのヒント~』のパーソナリティを務める

竹内 薫(たけうち・かおる)
1960年東京都生まれ。「科学応援団」としてテレビ、ラジオ、講演などで活躍。2016年、トライリンガル教育を行うYESインターナショナルスクールを開校。『ゼロから学ぶ量子力学』『AI時代を生き抜くための仮説脳』ほか、科学評論を中心とした著書多数
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