最近、愚痴っぽい?(写真提供:Photo AC)

仕事も子育てもひと段落し、時間や心理的な余裕が生まれる65歳からは、いわば人生のゴールデンタイム。脳を鍛えるのにも絶好のタイミングだと、脳トレの第一人者・川島隆太さんは言います。川島隆太さんの著書『脳を鍛える!人生は65歳からが面白い』より、食事、運動、睡眠、人間関係など、認知症にならずに《上手に老いる》ための習慣を紹介します。

批判や皮肉が認知症リスクを高める!?

自分の親に久しぶりに会った際、なんだか昔よりも愚痴っぽくなったと感じたことはありませんか?

ほかにも、こちらがよかれと思って提案したことを頑として受け入れてくれない……なんてこともあるかもしれません。

「年をとると頑固になる」「愚痴っぽくなる」と言われますが、これには加齢によって前頭前野の機能が低下することが関係しています。

前頭前野は感情をコントロールしたり、物事の善悪を判断したり、高次な精神活動を司っているのですが、衰えると情動の抑制が効かなくなり、他者の意見を受け入れにくくなるのです。

閉じられた環境で自分の意見が常に正しいと思っていると、他者に対してだんだんと批判的になっていきます。

年をとったから仕方ないと思ってしまうかもしれませんが、批判や皮肉が認知症リスクを高めるということが明らかになっています。

フィンランドの研究者が、「高レベルな皮肉や不信感を抱く人々は、認知症のリスクが高い」という研究結果を発表しました。平均年齢約70歳の認知症検査を受けた人たちを対象に、皮肉のレベルを測定するアンケートを実施し、追跡しました。

すると、皮肉や不信のレベルが高い人ほど認知症発症のリスクが高まることがわかり、不信のレベルが低い人は、高い人と比べると、皮肉屋になったり批判的になったりするのは、もちろん、もともとの性格や長年の思考のクセによるところもありますが、スマートフォンやタブレットを使ったSNS頼みのコミュニケーションも、要因のひとつとして挙げられるかもしれません。