自分の人生を大切に考えることから
5年ほど前から身辺整理はしてきました。蔵書の類は、欲しい人がいればどうぞと思いますが、これだけの量を持っていける人はないでしょう。活字になったものというのは、残るも残らないも、それはその本が持つ運命だと思いますね。
最近はアクセサリーも着けなくなってしまいましたし、100枚くらいあった着物も、4年ほど前に全部始末してしまいました。いくら持っていたって、この体では着られないと、ある晩考えたんですね。
箪笥を開けて全部出して積んでみて、ものすごく買い叩かれるだろうなと覚悟しましたし、実際そうでした。決心して決めたことなので、その後一度も後悔したことはありません。
これまで大切な手紙は取っておいたのですが、手紙だけ残しておくわけにもいかない。もういいか、と思うものは焼いて、他人に見せたくないものだけ「死後焼却」と書いた箱に入れてあります。これについては、ある人に死後焼却をお願いしました。
こうして新しい年を迎えても、私はどこまでできるかしら、自分はそのときまでいるだろうか、とすぐに思うようになりました。
以前はこんな気持ちになりませんでしたから、これが90代という年齢の厳しさなのだと思います。だから私は、その日、自分ができることを精一杯やるしかないのです。