昨秋の衆院選では自民党が大きく議席を減らし、与党が過半数割れとなりました。政治とカネの問題に有権者からの審判が下された、といった結果をみると、直接的に国民の身に響くのはお金の問題なのだということがよくわかりますね。

ただ私たちは、自分が生きるうえでなにを望み、なにができるのか、なにを失いたくないのかをもっと考えたほうがいいように思います。己自身のことは、誰よりも自分がよく知っている。自分の人生をもっと大切に考えることから視野は開け、判断力が養われるのではないでしょうか。

満洲からの引き揚げ時の難民生活では、そこら中で暴行や略奪が起き、私はソ連軍の将校にサーベルの切っ先を突きつけられ、あわやという思いもしました。

あまりの恐ろしさに、息をひそめるように暮らしていたのですが、近所にいた読書家のおじさんが、本なんてとても日本に持ち帰れないから持っていっていいよ、というので、よくわからないままに手あたり次第読みました。あの1年間は本をずいぶん読みましたね。

おかげさまでいまの私は目に問題がありませんから、新聞と本を読まない日はありません。新聞の書評欄でいいと思ったものは手帳につけ、本屋さんに寄って手に入れたらそのメモを消す。

買い求めた本を全部読むまで生きているかはわかりませんが、やらないよりはやったほうがいい。いつもそう考えています。そうやって、ひとつひとつ小さなことを実現していくことが私の人生のように思いますね。