(写真提供:Photo AC)
何度注意しても遅刻がなおらない、場の空気を読むことが苦手……。自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠如・多動症(ADHD)などの総称である「発達障害」という言葉が一般的に浸透してきています。そのようななか、1万人以上をカウンセリングしてきた公認心理師の舟木彩乃さんは、発達障害の傾向がありながら診断がついていない「グレーゾーン」の人たちがいることも指摘しています。そこで今回は、舟木さんの著書『発達障害グレーゾーンの部下たち』より一部を抜粋してご紹介します。

女性と発達障害グレーゾーン

発見が遅れる女性のADHD

これまで、ADHDは男性に多いといわれていましたが、最近では女性のADHDも多いといわれています。

ADHDはその特性の現れ方から「不注意優位型」「多動性・衝動性優位型」「混合型」(不注意も多動性も目立つ)の3タイプに分けて考えることがあります。女性は、この中では「不注意優位型」が多いといわれ、特に成人期以降に問題になることが多いようです。

幼少期や学童期のADHDの男子は、他の子にちょっかいを出したり、授業中に席を立ったりするなど、分かりやすいADHDの特性(多動性・衝動性優位型や混合型)が出ていることが多いため、周囲に気づかれやすいです。

一方、女性のADHDに多いとされる不注意優位型は、あまりにも忘れ物やなくし物が目立つケースでなければ、学童期に多少ケアレスミスや忘れ物が多くても、周囲がフォローしていると気づかれにくいのです。

ADHDの特性は、年齢によって変わりますが、不注意の特性は成人期まで持続するといわれています。特に女性の場合は、多動性や衝動性が強く現れにくいため、不注意の特性が目立ちます。