1人で通った芝居の稽古

小学校に入ってすぐ毎週日曜日になると、東横線で横浜駅に行き、京浜東北線に乗り換えて東京の上中里という駅まで行き、そこから歩いて15分のところにある幼稚園が稽古場だった。

家を出てから1時間半もかかった。初めの2、3度は母が連れて行ってくれたが、あとは一人で行かされた。

今思えば私もよく通ったと思うし、親もまたよくやらせたものだ。1953年といえばまだテレビも普及していない時代なので、たまに来る仕事は、もっぱら映画ということになる。

オーディションでちょっとした台詞としぐさをやらされて選ばれ、何本かの映画にも出た。覚えているのは、東宝映画の池部良さんと岡田茉莉子さんが主演の『旅路』という時代劇だ。

股旅姿の池部さんと岡田さんが並んで土手を歩くシーンで、向こうから風車を手に持って走ってくる子供の役だった。

片岡千恵蔵さん主演の『三つ首塔』という映画にも出た。

片岡さんが金田一耕助を演じた東映のシリーズの最終作だ。金田一耕助が部屋で捜査中、近くで野球をやっている少年の一人がガラスを割って入ってしまったボールを追って「おじさんボール取っておくれよ」と声をかける役をもらった。

当時のスーパースターの力道山さんが出演していた日活映画にも出たことがある。昼休み中、上半身裸で両手のダンベルを上げ下げしている国民的ヒーローが眩しかった。

 

未完成』(著:西岡徳馬/幻冬舎)