親に「介護してほしい」と言われたら

子どもがいくら距離を取ろうと思っても、子どもに直接介護してほしがる親もいます。

親の考え方には二つのパターンがあり、自分が両親や義父母の介護で大変な思いをしてきたからこそ、「自分の子どもには、同じ思いはさせたくない」「下の世話をさせたくないから、介護が必要になったら施設に入る」という親と、「これだけやってきたのだから、今度は私が面倒を見てもらうのが当然だ」と期待してしまう親がいます。

それは、きっとその方の不安の度合いによって、変わってくるのだろうと思います。

ただ、自分が元気でピンピンしているときには、「子どもに下の世話はさせたくない」と言っていた親でも、いざ介護が必要な状況に追い込まれると不安になって、「やっぱり、子どもに面倒を見てほしい」と心変わりしてしまうこともあります。

むしろ、そういうケースが多いかもしれません。そして、そういう親に対して、子どもが「いや、施設に入ってもらうよ」という気持ちでいるときに、問題が起こりがちです。

たしかに、昔は家族、特に長男のお嫁さんが中心となって、介護の大半を担っていました。

女性の多くは専業主婦でしたし、親戚づき合いも濃かったと思いますから、介護に関わることができる頭数も多かったでしょう。

加えて、医療も今ほど発達していませんから、介護に関わる期間も、そう長くはなかったと思います。

ところが世の中は変わり、寿命が延び、核家族化が進み、世は少子高齢化の時代です。介護する期間は格段に長くなっているにもかかわらず、直接関われる家族の人数は逆に減っています。

 

子供に介護してほしい親も(写真提供:Photo AC)