「辞書をパッと開いたところに出てきた言葉にしようと思い立って、目に飛び込んできたのが〈BEGIN〉だった」(比嘉さん)

比嘉 わが家にはアコースティックギターがあって、僕が最初に弾いたのは、小椋佳さんの「さらば青春」。コードが簡単だからって等が勧めてくれたんだよ。で、そうこうしてるうちに親父が透明のエレキギターを買ってきて、そこからベンチャーズなんかを弾くようになって。中2の時、優のバンドにサイドギターで参加したんだよね。

上地 僕は自分のバンドをやってたから、そのあたりの事情には詳しくないんだけど……。

島袋 高校に入ったらリーダーが抜けて、バンド名を変えようって話になってさ。

比嘉 辞書をパッと開いたところに出てきた言葉にしようと思い立って、目に飛び込んできたのが「BEGIN」だった。

島袋 バンドを仕切り直そうってタイミングだったから、ピッタリだなと思ったよ。

比嘉 僕は白百合クラブ(石垣島出身の長寿バンド)の人たちが、戦後の何もない時代に舞台を飾っていたのは、チューインガムの銀紙で作った紙吹雪だったって語っていたのが頭に残ってて、GINはいいとピンときた。

島袋 ボーカルが抜けちゃった問題もあって、ジャンケンで決めることにしたんだけど、栄昇が負けて。初めて歌声を聴いた時はウワァー、ってなった。圧倒的に上手くて、ボーカル決定! みたいな。

比嘉 ヤバいなぁって思ったよ。引っ込み思案な質だから、人前で歌うなんて冗談じゃないって感じで。音楽は好きだったけど、4歳くらいの時に親戚のオバチャンから、「比嘉家には夢半ばで亡くなった歌の上手い人がいて、どうやらお前に思いを託してるらしいよと、近所のユタ(霊媒師)の女性が話してた」と聞かされて以来、歌は怖いって避けてたし。

上地・島袋 ハハハ!

比嘉 こっちは家業の建築業を継ぐって決めてるのに、勝手に歌うことを託されても困るっていうか、嫌ですって思ってて。

島袋 でも結果、今も歌ってる。

比嘉 だから不思議でしょうがない。