「恋しくて」でプロデビューしたけれど

上地 不思議な流れは僕も感じる。音楽教師を目指して東京の音楽大学へ進学した時は、再びバンド活動を始めるとは思ってなかったんだから。

島袋 同じく。僕は空間デザインの仕事に就くことを夢見て、東京の美術大学を受けたけど見事に落ちた。で、美大の予備校に通ってたんだけど、上京してからはバンドのことは忘れてた。

上地 あの頃はよく、上京したウチナーンチュ(沖縄県人)の仲間と、池袋の優のアパートに何をするでもなく集ってたよね。

島袋 笑っちゃうのが、等と一緒に秋葉原の家電店へ行ったら、栄昇がいてさ。

上地 なんで沖縄本島の大学へ進学したはずの栄昇が東京にいるの? 幻か? みたいな。

比嘉 ワハハ。大学に落ちて、カッコ悪いからこっそり上京して予備校に通ってた。そのうちバッタリ会うかなとは思ってたけど。

島袋 石垣ならともかく、東京では普通、会わないでしょ。

上地 今にして思えば、あの時がターニングポイントだった気がする。そこから栄昇も優の家に来るようになって、またバンドやんない? って話になるわけだから。

島袋 栄昇が言い出した時は断ったのに、ギターのことが頭から離れなくなっちゃって……。

上地 僕も寝た子を起こされた感じで、気づいたら2人と一緒に練習してた。仲間が結婚パーティーをした東京の小さなライブハウスで演ったよね。あれも転機だったんだよ。店の人から定期的に演奏しないかって声をかけてもらったんだから。