不思議なことに……
朝一緒に学校に行くというささやかな習慣を、たったそれだけのことを守ってあげるだけで彼の世界のバランスは整い、笑顔で登校し、笑顔で帰ってくる。それでいいんじゃないか。それが全てなんじゃないか。夫婦でそう話し合い、「彼の当たり前」を守ってあげようと、毎朝一緒に登校することに決めました。
不思議なことに、そう決めてから自分の中で小さな変化がありました。
ゲームに対して以前ほどモヤッとすることがなくなったのです。もちろん「またゲームばっかりやって」とイライラすることはあります。
でも、「私には私の、彼には彼の、世界のバランスの取り方がある」と心の奥に留めているだけで、以前のイライラとは少し違うような気がしているのです。
※本稿は、『キドアイラク譚』(扶桑社)の一部を再編集したものです。
『キドアイラク譚』(著:浜島直子/扶桑社)
読むほどに心が整う、モデル・はまじの喜怒哀楽36篇のエッセイ集。