生後10か月の頃

あれは息子が生後10か月の頃でした。ロンパースによだれかけのスタイルで、つかまり立ちをしながら目に入る引き出しを全部開け、中身を出し、延々と終わらない探検を繰り広げていました。

私は「今日の晩ご飯どうしよう……」と、ぼんやりする頭で考えていました。ロンパースからはむちむちの脚が出ていて、ミシュランのキャラクターのようでした。そろそろ抱っこしてほしくて顔を歪める息子。まだ身体を休めていたい私。じっと見つめ合いながら、お互いの気持ちを伝え合い、あぁ、そろそろ泣きだすかな、と思った瞬間でした。息子がまっすぐに私を見つめたまま、ゆっくりと、右脚をわずかに前に出しました。

あ！　げんこうはんたいほっ！（写真：『キドアイラク譚』より）
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「え!?　今歩いた！　すごい！　歩いた！」興奮する私に驚き、ついに泣きだす息子。抱きしめる私。

「ナオ、素晴らしい誕生日プレゼントだね」旦那が嬉しそうに言いました。