憧れは、商店街の喫茶店のおばあちゃんだった

「商店街の小さな喫茶店をきりもりする洒落たおばあちゃん」。Sさんが子どもの頃から憧れてきたのは、生涯現役で働くそんなおばあちゃんでした。

またファッション雑誌「Olive」を読んで育った《オリーブ少女》だったSさんは、「Olive」に登場するカフェなどのお店をやりながら自分らしく生きているおしゃれな女性に憧れて、「いつか私もお店屋さんをやりたい」という気持ちを持っていました。

けれども大学を出て選んだ就職先は、当時興味のあったインテリア業界。その後、アート関連に興味が行き、結婚・出産をはさみながら、美術館のミュージアムショップの運営や、科学館での幅広いプロジェクトにかかわります。

充実したキャリアを歩みながらも、42歳のときに家族の介護で離職。3年間で祖母、母、姉、父と4人を見送るという大変な時期を過ごします。

ようやく自分の次の仕事について考えられるようになったときに、思いをはせたのが子どもの頃からの夢でした。定年のある会社員には戻らず、店をやろうと決意します。

 

『60歳の迎え方 定年後の仕事と暮らし』(著:河野純子/KADOKAWA)