「自分ひとりで、子育ても家事もがんばらないといけないと思って、いつもイライラしていました」(写真提供『90年、無理をしない生き方』すばる舎/撮影:林ひろし)
85歳で孫と一緒に始めた、古い団地でのひとり暮らしを紹介するYouTubeチャンネル『Earthおばあちゃんねる』が人気となり、著書も累計18万部の大ヒット。それでも、毎日の暮らしは変わらないと話す多良美智子さん。90歳を迎え、体の衰えはあっても「無理をしない」生き方で、日々機嫌よく暮らしています。そんな美智子さんの90年の人生を振り返った著書『90年、無理をしない生き方』から、いくつになっても機嫌よく過ごす秘訣を紹介します。

子どもたちを怒ってばかりだった私が一変した日

長男が小学校1年、次男が幼稚園の頃、子どもたちを怒ってばかりいました。

ある日、カーッとなって、30cmの物差しを振り上げて、子どもたちのお尻を叩こうとしました。すると、次男が「ママ、こわい」と言うのです。今までそんなこと言われたことがなかったから、ハッとして、物差しをおろしました。

そして、その瞬間、急に気持ちが切り替わり、「いい母親ぶるのはやめよう」と思ったのです。

夫は仕事が忙しくて、家には子どもたちと私だけ。次男はおもちゃを散らかすし、長男はランドセルを投げ捨てる。片づけても片づけても、すぐに散らかります。

ごはんの支度をして子どもたちに食べさせないといけないし、お風呂にも入れないといけない。夫が帰ってきたら、スッキリきれいな部屋で迎えてあげたいのに、それができない……。