同じ話を繰り返し…(写真提供:Photo AC)
「忙しい自慢をしてしまう」「自分の正義を押し付ける」「教えたがる」「長々と言い訳をする」など、認めてもらいたいという人ならだれでもある欲求が高じると、頭が悪い人に見えてしまう危険性があります。ベストセラー『頭がいい人、悪い人の話し方』の著者・樋口裕一さんが、考察するそのような言動をとる理由、そして知的習慣が身につくヒントを綴った著書『頭のいい人が人前でやらないこと』より、一部を抜粋して紹介します。

同じ話を繰り返す

ロンドという音楽形式がある。ベートーヴェンの『エリーゼのために』などが典型的だ。

最初に印象的なひとまとまりのメロディが聞こえ、次に別のメロディになるが、しばらくするとまた最初のメロディが繰り返され、それが何度も繰り返される形式だ。同じメロディが回るように繰り返されるため、日本語では「輪舞」と訳される。

まるでロンド形式のような話をする人がいる。「電車が遅れて遅刻してしまいましてね。山手線で架線事故があったようで、しばらく止まっていたんですよ。ホームで30分も待ってイライラしましたよ」と出会ったとたんに言い出す。

約束の時間に遅れて到着したのであれば、もちろん、そのような言い訳をする必要がある。それは当然のことだ。

だが、話がひと区切りするごとにまた同じことを言い出す。仕事を話がひと段落すると、また「電車が遅れて遅刻してしまいましてね。山手線で架線事故があったようで……」と言い出す。

それで終わりかと思っていると、また別の話がひと段落すると、「電車が遅れて遅刻してしまいましてね。山手線で架線事故があったようで……」と繰り返す。これでは、バカと思われても仕方がない。

いや、1つの話がワンフレーズかツーフレーズであれば、まだいい。あるいは、多少のバリエーションがあるのならそれでもいい。ひとまとまりが1分くらいかかるような話をまったく同じ内容で同じ口調で繰り返す。

中には、ロンド形式どころか、最初の話が終わったとたんに同じフレーズを繰り返す人もいる。

CMに、まったく同じ内容を二度続けて、お金を節約しながら印象付けようとするものがあるが、それと同じで、音楽の反復記号でもついていたかのように、そのまま繰り返す。

これではいつまでたっても話が先に進まない。それどころか、3つくらいの話をそれぞれ3回ずつくらい繰り返す人もいる。1回ずつであれば5分くらいですむところを、3回ずつ繰り返すので15分以上かかったりする。