話が横道にそれる人

仲良し数人で旅行の相談している。伊豆がいいか日光がいいか、それとも関西まで足を延ばすか、いっそのこと四国にでも行くか。日程、料金、景勝地、温泉の質などを話している。そのなかに話がずれていく人がいると、なかなか話が進まない。

日光に行こうかと考えているとき、かつて自分が日光を訪れたときのエピソードを話し始める。もちろん、それが今回の旅の参考になればよい。そのつもりで話しているのであればいい。

ところがそんなつもりは毛頭ない。単に小学校の修学旅行で日光に行ったときのささいなエピソードでしかない。友達の固有名詞まで出して楽しそうに話す。

横道にそれるのが同僚か目下の人であれば、途中でとどめて話を進めるが、それが目上の人の場合にはそうもいかない。ひとしきり話が終わるのを待って、本来の話題に戻す。

もし、旅の計画を立てている数人の中に、横道にそれる人が2人以上いたら、その話し合いはまとまらない。

何度会って話をしても無駄話で終わって埒が明かず、最後には、リーダーとなっている、この中で最も有能な人間が1人で決めて、ほかの人に指示をせざるを得ない状況に立ち至るだろう。

この2つのパターンが合体している人もいる。そうなると、誰にも理解できない外国語を1人でしゃべっているに等しい状況になる。

ただ、意外なことに、このようなタイプの人間が2人でそれぞれに支離滅裂な話をしているのに、互いにわかりあっているような場面に遭遇して驚くことがある。きっと愚かな人同士は波長が合って理解しあえるということだろう。

 

※本稿は『頭のいい人が人前でやらないこと』(青春出版社)の一部を再編集したものです。


頭のいい人が人前でやらないこと』(著:樋口裕一/青春出版社)

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