判決内容まで統制される危険

世の中全体がデジタル化して右から左へ流れ作業でいくような世の中になりつつありますが、その中で、裁判という仕事はデジタル化がしにくい分野だろうと思っています。

最近よく耳にする人工知能を使って細かな条件までインプットすると判決の結論と理由まで考えてくれる時代が到来するのでしょうか?

ただ、人工知能が集積した過去のデータの範囲内で結論を出すのならば、画期的判決は無理かなとも思えます。保守的思考の人は、画期的判決が出ないようにデジタル化に邁進するのでしょうか?

デジタル化という社会の趨勢に流されるふりをして、判決内容まで統制される危険は常に把握する必要がありますね。

※本稿は、『裁判官の正体-最高裁の圧力、人事、報酬、言えない本音』(中央公論新社)の一部を再編集したものです。

【関連記事】
戦後最大の冤罪・袴田事件「ずっと収監されていた巌。出所したら苦労なんてすっ飛んじゃって…」姉のひで子さんが今思う<50年以上も頑張れた理由>とは
「みんなが敵に見えた」1980年の判決で袴田巌さんの死刑が確定。57年後に手にした<無罪>を姉・ひで子さんが喜び伝えるも、巖さんに反応は無く…
<無罪確定>袴田巌さんの姉・ひで子さんが語る生い立ち「終戦までに4千人近く落命した浜松市で過ごして。おなかがすいたらカボチャかサツマイモしかなかったために今も…」

裁判官の正体-最高裁の圧力、人事、報酬、言えない本音』(著:井上薫/中央公論新社)

本書は元判事の著者が「裁判官の独立」がいかに脅かされやすいのか、そして、裁判官がいかに俗物であるかを明らかにします。

袴田事件のようなとんでもない冤罪事件が起きるのはなぜなのか。

その淵源を直視します。