
うららかな陽気に反するように、春になると倦怠感や気分の落ち込み、体の不調を訴える人が増えます。その原因は《気候の影響》かもしれません。気象病研究の第一人者に、原因と対策を聞きました(イラスト/小林マキ 取材・文・構成/岩田正恵《インパクト》 デザイン/米山和子《プッシュ》)
「気温・湿度」に弱いタイプ
春は低気圧と高気圧が交互に日本列島を通過するため、天気の変化が激しいうえ、一日の中でも朝晩と昼の寒暖差が大きい季節。
「こうした変化がストレスとなって、自律神経のバランスが崩れ、もともと抱えている不調が出やすくなるのです。とくに女性は加齢やホルモンの変化で自律神経のバランスを崩しがちなため、男性よりも症状が出やすい。実際、女性の約8割が気象の変化による体調不良を感じるという調査結果もあるほどです」と説明するのは、気象と不調の関係に詳しい佐藤純先生です。
古くから「雨が降ると古傷が痛む」といわれるように、天気と体調には何らかの関係があるのではないかと考えられていました。佐藤先生はその因果関係を長年研究。気象の影響で体調が悪化する「気象病」の中でも、痛みが伴うものを「天気痛」と命名しました。
「気象病を引き起こす原因は、温度・湿度・気圧の3つです。それぞれが密接にからみ合っているので、どれが原因とはっきり言えないケースが多いものの、どの要素に影響を受けやすいタイプかの傾向はあります」(佐藤先生。以下同)
季節の変わり目に体調を崩しやすい人は、「気温や湿度の変化」に敏感なタイプといえるそう。
「皮膚や粘膜にあるセンサーが気温や湿度の変化を感じ取ると、変化に対応しようと交感神経が活発になり、エネルギー消費が増えることで疲労感や倦怠感が生じます。また、湿度が高くなると、体内の水分が排出されにくくなるため、関節痛やむくみといった症状が出てくるのです」