食べ物を残すことへの罪悪感
山口 食材を無駄にしてしまうという罪悪感も、自炊を避ける理由として大きいですね。ひとり暮らしだと、どうしても大根とかキャベツとか、1回では使い切れなくて余っていく。でも毎日自炊できるわけじゃないから、ダメにしてしまったりする。学校給食でもそうですが、日本人は、食べ物を残しちゃいけない、無駄にしちゃいけないという意識をすごく強く持っていると思うんです。でもその罪悪感があると、なおさら自炊から離れてしまうかもしれないですね。
佐々木 確かに「自分はすぐに植物を枯らしてしまう」と思っていたら、新たな植物は買いづらい。でも無駄が出ないことだけを目的にすると、誰かに工場でまとめて管理してもらったほうがいい、ということになってしまうかもしれません。
山口 手間のかかるコロッケを1個だけ食べるために、じゃがいもや玉ねぎ、ひき肉、卵、パン粉を買って作るのは本当に労力に見合ってないと、私も思います。私は家に人が来ても、コロッケは面倒だから作りません。ハンバーグが限界(笑)。
佐々木 おでんの卵1個だけを作るんだったら、コンビニで買ったほうが確かにいいかもしれない(笑)。それでも手間や面倒、コスパやタイパを超えるものが、自炊にはあるのではないか? ということを考えていければと思います。
※本稿は、『自炊の壁 料理の「めんどい」を乗り越える100の方法』(ダイヤモンド社)の一部を再編集したものです。
『自炊の壁 料理の「めんどい」を乗り越える100の方法』(著:佐々木典士、山口祐加/ダイヤモンド社)
初心者だろうと、日々料理を作る人だろうと、平等に立ちはだかる【自炊の壁】──。
「どうすれば、自炊を楽しく続けられるのか?」を図解やイラストを交えながら、100のテーマで解き明かします。
コンビニ弁当をかごに入れる前に、レシピで眉間にしわを寄せる前に読んでほしい一生モノの“自炊”啓発書。