(写真はイメージ。写真提供:Photo AC)
厚生労働省が発表した「令和元年 国民健康・栄養調査」によると、週1回以上外食を利用する人の割合は20代が最も高かったそう。若い世代を中心に自炊をしない人が増えているなか、今回は、ミニマリスト・佐々木典士さんと自炊料理家・山口祐加さんが、「自炊の壁」ひとつひとつを言語化し、その解決策を練った共著『自炊の壁 料理の「めんどい」を乗り越える100の方法』から一部を抜粋し、<自炊を楽しく続けるコツ>をお届けします。

一汁三菜はもうムリ?

佐々木 現代の生活にフィットする献立って、どういうものなんだろうって思うんです。献立には、一食ごとでの品数の問題と、毎日のバリエーションがどれぐらい違う必要があるのかという、2つの側面がありますね。

品数の問題でいえば、かつて理想とされていた一汁三菜は、さすがにフィットしなくなってきているように思います。少し歴史を遡ってみると、戦前は農家が多かったから米も野菜も各家庭で作っていた。そして薪を割って、かまどで火を焚いたりして、料理に取りかかる前の段階で、手間がめちゃくちゃかかっていたんですよね。

それが60〜70年代あたりの高度経済成長期になると食材を作るのではなく、スーパーで買うことで豊富な食材が手に入るようになった。夫は農業をするのではなく、会社に行くようになって、子どもも学校や塾で忙しくなる。

以前、飯炊きは子どもの仕事でもあったようですが、主婦が単独でやるものになった。家庭内で分業が進んだから、より複雑なこともできるようになって、会社帰りの疲れた夫を和洋中の多彩な料理で出迎え、もてなすことが主婦の役割になったという。

山口 豊かになった証拠ではあると思います。それまでは味やバリエーションを楽しむんじゃなくて、本当に生きるために食べていたと思うんですよね。