現代にフィットする品数とは?

佐々木 現代にフィットする、一食あたりの品数の、具体的な提案ができたらと思います。山口さんはどんな風に品数を考えてますか?

山口 私は基本的に米ベースの食事なんです。そして米にはおかずが必要ですよね。

(写真はイメージ。写真提供:Photo AC)

佐々木 炊いた米だけを食べることはなくて、米には何かが必要。確かにそうですね。

山口 納豆とか、ふりかけのようなご飯のお供もありますけど、まずは米に合うメインを作ることを考えます。そうするとお肉の炒め物みたいなものになる。そのメインでご飯を食べることができるから、サブの一汁か一菜はご飯に合わなくてもいい。だからお浸しとか、サラダみたいなものが作れる。もしメインの中に野菜が含まれていれば、栄養的にもそれだけで一食は成立すると思います。

佐々木 ほとんどの日本人は米を主食にしているわけだから、かなりの人に当てはまる考え方かもしれません。ぼくもその「メイン+副菜(一汁or一菜)」ぐらいが続けていても苦ではないなと思いました。献立を考えるうえでも、料理の工程のうえでも。あったらでいいけど、それに作り置きや、調理せず出せるキムチや漬物なんかを加えてもいい、という感じです。

山口 私も以前は一汁一菜に縛られすぎて、汁物がないとダメという気持ちだったんです。でも海外の自炊を巡る旅に出たら、献立なんて何でもいいんだと思えて、ご飯と炒め物だけでも満足できるようになりました。イタリアだと、ピザで終わり、パスタで終わりということも普通にあります。それで全然困らないんですが、なぜか炊いた米があるとその周りに小鉢を置きたくなる。不思議です。

佐々木 ランチが麺だけでも悪くないし、朝食はトーストとコーヒーだけがいいという人もいますよね。夕食としてもの足りなく見えない品数ということですかね。白いご飯と、焼いたステーキだけで野菜がまったくないと、不思議ですけどパッと見て献立として成立しているように見えないですよね。

山口 単に見慣れていないということもあると思います。日本人は、きちんとした定食スタイルが好きですよね。でも献立の発想がない人も海外には多いと思います。