俳優座には立華学園の先輩で、4歳上の中村たつさんがおられ、昨年も「戦争とは…」で一緒の舞台に立ちました。先輩がそうやって芝居を続けているのですから、私が舞台に立つのも当たり前。

そういえば昨年、たつさんがこんなことを言ってました。「以前、杉村春子さんと同じ舞台に立ったとき、『女優に歳はございませんのよ』とおっしゃったの。だから晩年になっても、若い娘役でもなんでもなさっていたのね」。

たつさん、杉村先生の声真似がとってもお上手なので思わず笑ってしまいましたけど、私はそういう世界で78年やってきたわけですから。年齢で驚いてはいけない。(笑)

長い役者人生のなかで、「やめようかな」と思ったことは何度もありますよ。ふざけて「ヤメた~い!」と言うときもあるし、肉体的につらいと、ふっと「もう、続けられないかな」という思いが頭をよぎります。

芝居が嫌いだからではありません。ついていけない自分がイヤになっちゃう。でも、なんとか自分を奮い立たせて稽古をし、舞台に立つ。その繰り返しです。

これを言うと皆さん驚かれるのですが、芝居をやっていれば、それが自然と体調管理になります。でも子どもの頃は、腺病質で弱い子でした。小学校のとき、集団疎開で行かされた静岡でも、しょっちゅう微熱を出して一人で寝かされたりしていましたから。ところが芝居をするようになったら、不思議なことに元気になったのです。