4月から社会人となり「一生懸命やってはいるけど、これでいいのだろうか…」と悩む方もいらっしゃることでしょう。そのようななか、「『成長』『成功』『幸福』とは何かを求め続け、ようやくその答えを得られたのは40歳になってから」と語るのは、明治大学文学部・齋藤孝先生。そこで今回は、齋藤先生が社会人1年生の「君」に向けて、社会に出て「成長」し、そして「成功」するために必要不可欠なコツを書いた著書『悩み続けてきた「僕」から君たちへ ーー社会人1年生に伝えたい成長と成功の本質』より一部抜粋し、お届けします。
「努力」について
「努力が大事」なのは当然だが、社会に出てからは努力の“質”についてしっかり考えないと、「自分に向いている仕事」には、なかなかめぐり合えないかもしれない――
何時間やっても疲れにくいというのは、言い換えると「努力を努力とも思わずにやれる」ということ。「ツラいけど頑張らねば」と自分にカツを入れなくても、自然に努力できてしまう状態ですね。
かの大谷翔平選手が、メンタルの考え方について、こんな発言をしています。
「日本の場合は根性、根性みたいなところがあると思うんですけど、それも善し悪しだと思うので、はまる人にははまると思いますし、はまらない人にははまらないのかなと思います」
この「はまる」「はまらない」という言い方が、努力のあり様について、実にうまく言い当てていると思います。
そもそもスポーツでも仕事でも、「根性でやれ!」「がむしゃらにやれ!」と言われてもピンと来ない人には全然響かない。「根性と言われても、どうすればいいの?」となってしまう。
だから僕は、みんながみんな“昭和の根性論的”な、ツラい努力をする必要はないと思っています。よく「石の上にも3年」と言うけれど、これもケースバイケースということですね。
もちろん、努力が不要だとは言いません。何をするにしても、真摯に物事に向き合う姿勢は必要不可欠です。
でも、心が疲弊してしまうような努力はムダな努力の可能性もある。そう切り替えて、努力に対する考え方を変えてみるのも大事なことではないでしょうか。