当事者意識で臨むこと

試験そのものも、締め切り、つまり制限時間との戦いですよね。決められた時間内で高得点を取るには、どの問題から解くべきか。ミスがないようしっかり確かめるには、どう時間配分すべきか。

要するに、入試にチャレンジしてきたというのは、期限を守りつつ正確さを追いかける経験を積み重ねてきたということ。

『悩み続けてきた「僕」から君たちへ ーー社会人1年生に伝えたい成長と成功の本質』(著:齋藤孝/祥伝社)

もっと言うと、その練習を高校──もしかすると中学?──受験でもやっていますよね。

つまり、君は仕事で活躍するため、時間内にできるだけミスを少なく仕上げるトレーニングを長年続けてきた“時間厳守のプロ”とも言えるわけです。

こう考えると、「ああ、あの入試の感覚を思い出せばいいのか」「受験のときの頑張りがこんなところで生きてくるのか」と、少し自信がつきませんか?

「入試は自分の人生がかかっているから、本気で取り組むことができたけれど、上からの頼まれ仕事だと思うと、どこか他人事でイマイチ身が入らない……」

そう感じることもあるでしょう。でも、そこは気持ちを引き締めて、小さい仕事だからこそミスなんかするものか、という姿勢で事に当たってほしい。

「どうせ下っ端だし、何かあったら上がカバーしてくれるし……」と思っていたら、いつの間にか「仕事が楽しくない沼」にはまってしまいます。資料作成でも会議の準備でも、どんな小さな仕事も「自分の責任」だと当事者意識で臨むことが大事です。