
別の入牢者から「きめ板」と呼ばれる厚板で打ち据えられる受刑者(『司法制度沿革図譜』より「舊江戸傳馬町牢獄内晝之圖 舊江戸傳馬町牢獄夜中の圖」,朝鮮総督府法務局,1937. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1281840
日本のメディア産業、ポップカルチャーの礎を築き、時にお上に目を付けられても面白さを追求し続けた人物“蔦重”こと蔦屋重三郎の生涯を描く大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(NHK総合、日曜午後8時ほか)。ドラマが展開していく中、江戸時代の暮らしや社会について、あらためて関心が集まっています。一方、歴史研究者で東大史料編纂所教授・本郷和人先生がドラマをもとに深く解説するのが本連載。今回は「江戸の牢屋事情その2」について。この連載を読めばドラマがさらに楽しくなること間違いなし!
なぜか江戸の牢屋事情に詳しい知人
ぼくの友人に、日本史にも時代劇にもさほど興味がない女性がいるのですが、なぜか江戸時代の牢屋について、しっかりとしたイメージを持っていました。
不思議に思って尋ねてみたところ、どうやら大沢たかおさん主演のドラマ『JIN -仁-』(2011年)の影響のようです。
『JIN -仁-』といえば、『べらぼう』と同じ脚本家・森下佳子さんが手掛けて大ヒットした作品ですよね。
主人公の医者、南方仁が幕末にタイムスリップする、というストーリーなのですが、ドラマ内で仁は無実の罪で捕らえられてしまいます。そしてその中で、当時の牢屋の様子が描かれているんです。
このドラマはいまサブスクリプションサービスなどを通じて手軽に楽しめるようで、大沢ファンの彼女は、何度も見返している。そのうちに牢のイメージも脳内に取得できたよう。
机に向かわずに自然と学べるなんて、ドラマの力は偉大だなあ…。