「自律神経は50歳を過ぎると、野生動物であれば自然界で生きられないレベルまで下がる」――。そう語るのは、自律神経の名医・順天堂大学医学部の小林弘幸教授です。避けて通れない<老い>の真っただ中で、自律神経を整えて楽しく過ごしていくためには、どのような習慣を身に付けたら良いのでしょうか?今回は、小林教授の著書『老いが逃げていく10の習慣 自律神経さえ整えばすべてうまくいく』から、すぐに実践できる<老いない習慣>を一部ご紹介します。
「老い」=新たなスタートと考える
今、日本に100歳以上の方は9万人以上いらっしゃいます。今や人生100年時代。60歳はマラソンでいえば折り返しを過ぎたあたりです。
ここで医師の立場から、日本の医療の現状を少し語らせてください。日本の医療の一番の課題は、健康寿命と平均寿命の差をいかに埋めるかということです。
健康寿命とは「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」のことを意味します。大前提として、健康寿命も平均寿命も、近年は毎年少しずつ延び続けています。内閣府が発表した2023年の健康寿命は、男性が72.68歳、女性が75.38歳。
一方、平均寿命はというと、男性81.09歳、女性87.14歳(2023年厚生労働省発表)。つまり、現在のところ、健康寿命と平均寿命の差は男女ともに10年以上あるのです。