心配し過ぎる、気をつかい過ぎる、怒り過ぎる──。「私たちは日々、何かを『し過ぎる』ことで、知らず知らずのうちに心をすり減らしています。でも、ほんの少し意識をはたらかせて『し過ぎない』ことを心がけるだけで、私たちはもっとラクに生きられるのではないでしょうか」と語るのは、禅僧の枡野俊明さん。そこで今回は、枡野さんの著書『「し過ぎない」練習』から一部を抜粋し、適度なバランスを見つけるヒントを紹介します。
優しさも過ぎると、優しくなくなる
「人に優しくしなさい」
誰もが子どもの頃から教えられてきました。
「優しさ=善」と刷り込まれてきたのです。
だからでしょうか。多くの人は、優しさが足りないなんてもってのほか、優し過ぎるぐらいがよいことだと思っているようです。
「優しい人」を貫きたいあまり、自分を犠牲にして相手に優しくしたり、相手の頼みごとをすべて受け入れたりする人もいます。しかしそれは、相手にとって都合のいい人なだけです。第一、自分自身にとって優しい人ではありません。