優しさの押し売り

さらには、頼まれていないのに優しさを押し売りするような人もいます。

たまたま入った蕎麦屋さんで食べた蕎麦がとてもおいしかったとしましょう。そのことを知人に「**屋の蕎麦、とてもおいしかったですよ。機会があれば食べてみてはいかがですか」と言うのは優しさです。

『「し過ぎない」練習』(著:枡野俊明/クロスメディア・パブリッシング)

ところが、「おいしかったから、これから一緒に食べに行きましょう」と、相手の事情も考えず無理に誘うのは優しさの押し売りといえます。

とてもおいしいと感じた蕎麦を、知人にも食べさせてあげたいと思う優しさは同じでも、表現の仕方ひとつで優しさが過ぎてしまいます。余計なおせっかいも、優しさの押し売りです。

本当の優しさとは、相手の気持ちに寄り添い、損得を考えず、見返りを求めず、相手のためになることを行うことです。

それは、自分を犠牲にしてまで相手に尽くし、相手の要望を何でも聞き入れることではありません。困っている人がいたら自分のできる範囲で手助けしてあげるのは当然ですが、相手に依存心を抱かせないことが、相手のためにもなる本当の優しさです。

また、相手に悪い点があるなら、それをきちんと指摘してあげることも優しさでしょう。