筋トレをはじめてほんまによかった

ヨボヨボの「ザ・おじいさん」が、「びっくりするほど若々しい人」に変身できるなんて、こんなに楽しいことがありますか。会う人ごとに褒められて、いつだって気分は上々です。

とはいえ、バーベルを担いでスクワットを繰り返すのは、毎回、限界への挑戦です。辛抱たまらんようになってくると、自分の中のもうひとりの自分が顔を出して「やめとけ。やめとけ」と言うんですわ。トレーニングの最中だけじゃありませんよ。ちょっと天気の悪い朝なんかにも、そいつが顔を出して「今日はジム、行かんでええんちゃう? 雨やから、すべるで。やめとき、やめとき」って。悪いヤツでっしゃろ? せっかく老骨にムチ打ってがんばろうとしてるのに、楽なほうへ、楽なほうへ導こうとそそのかしよるんです。

こいつの名前、知ってますか。「三日坊主」です。あなたのとこにも、ちょくちょく出てくるんちゃいます? こいつに負けたら、何ごとも続きません。筋トレに限らず、三日坊主が出てきたら、しっかりとつかまえて説教し、納得させて、一緒に連れていくのが肝心です。この坊主はしぶといから、完全に姿を消すことはないんですよ。だから、上手につきあいながら抑え込まんとあかんのです。それが継続のコツと言えるかもしれませんね。

今から7年前、重い腰を上げて筋トレをはじめてほんまによかったと思ってます。あきらめずに誘ってくれた瑤子さんにも、セールストークのうまい受付の女性にも、思いきって挑戦しようと決めたぼく自身にも感謝状をあげたいですね。

※本稿は、『93歳、崑ちゃんのハツラツ幸齢期』(中央公論新社)の一部を再編集したものです。


93歳、崑ちゃんのハツラツ幸齢期』(著:大村崑/中央公論新社)

86歳で筋トレを始めたら、元気に歩けるようになり、不安を感じることがなくなったという大村崑さん。

日々の健康習慣や、人づきあいのコツ、安心を手に入れるための終活、夫婦円満の秘訣など……。

93歳を迎えた大村崑さんが「高齢期」を「幸齢期」に変えるヒントを披露します!