70歳になったからこそ歌えた

「人生泣き笑い」とカップリングの「大阪ラブレター」。どちらもね、歌詞がいいんです。なんだかんだ言っても人間はそこに帰結するという人生賛歌です。売れるかどうかは難しいかもしれませんけど、私自身、好きな歌です。もし、この歌を天童よしみさんが歌っていたら「その歌ちょうだい!」と思わず言ってしまうような曲です。作ってくださった先生には恩義しかありませんし、70歳で新人歌手のような気持ちです。これはね、ものすごいエステサロンみたいなもので、内面からものすごく刺激を受けます。ありがたいことです。

『人生泣き笑い』

美空ひばりさんでもないのに、私が人生賛歌なんて。そう思ったりもしたんですけど、14歳から入って70歳。自分でもね、よう働いたなと思います。

「昭和は良かった」とノスタルジックに言われることもありますけど、その時代は力が要りました。今はグルメロケを見て感想を言ったり、凝った企画や映像があって楽しい空気を作る番組が多いんでしょうけど、昔はメインの馬力ありきですから。

ゲストも来ていただく。きれいなセットも作っていただく。でも、中身を面白くするのは真ん中に立つ人間の力。やしきたかじんさんもそうだったと思いますけど、結局、最後はこっち次第なんです。テレビというよりも、ラジオに近かったと思います。みんなを引き付ける人気も必須。吉本興業でも松竹芸能でもないし、数字が良くなかったら1番に切られるのは私です。結果を出し続けるしかなかった。

その中でやってきたからこそ、今、70歳でこの歌がなんとか歌えたのかなと思います。もうちょっと若かったら「なんのこっちゃ」になっていたかもしれません。