サボらずに全力でやる
きれいごとばかりじゃなく、悔しいという思いもあるんですよ。どうせ同じように力いっぱいにやるんだったら、全国ネットでやっていたらどうなっていたんだろう。正直、そう思うこともあります。私はやっぱり関西ローカルのタレントですから。
でも、自分がこの道を歩んできたからこそ、ダンナとも結婚したんだと思いますし、仕事をしていて涙が出るほどうれしいことも経験させてもらってきました。
ABCラジオで『上沼恵美子のこころ晴天』というラジオを丸32年やらせてもらっているんです。今はradikoがあれば全国のラジオを聴くことができますけど、まだまだそんなものがない時代、番組を聞いてくださっていた女性リスナーさんが大阪から名古屋に引っ越しされたそうなんです。それもラジオが聴きたいから生まれた赤ちゃんを連れて車で小高い山の上まで行ってかすかな電波を拾ってまで私の話を聞いてくださっていた。そのお便りを番組にもらった時は涙が出ました。これはね、本当にありがたいです。こんなこと、身内でも思ってくれないです。
58歳の時に急性肝炎で死にかけました。数値的には死んでいてもおかしくない。何日か意識も失っていました。入院していた病院の前を通るたびに「あの時に死んでたら、伝説みたいに扱ってくれてたんやろうか」と思っていたこともありました。でもね、よう生きてきたもんだと思います。
70歳になってね、普通だったら、こんなバナナみたいな色のワンピース着ませんよ(笑)。それでも着るんです。この仕事をやっているから。喜んでくださる方がいる以上、サボらずにやる。全力でやる。そこはアクセルを緩めたらダメだと思っています。
…それにしても、ここまで黄色くなくてもエエんやろうけど。(笑)
■上沼恵美子(かみぬま・えみこ)
1955年4月13日生まれ。兵庫県出身。本名同じ。71年、姉との姉妹漫才コンビ「海原千里・万里」での千里としてデビュー。同年、上方お笑い大賞銀賞を受賞。歌手としても活躍し、76年発表の「大阪ラプソディー」が大ヒット。77年、結婚を機に引退するが、78年の長男出産後に復帰する。85年からNHK『バラエティー生活笑百科』にレギュラー出演し、さらに知名度を上げる。94、95年とNHK紅白歌合戦の紅組司会を務めた。読売テレビ『上沼・高田のクギズケ!』、ABCラジオ『上沼恵美子のこころ晴天』に出演中。6月18日に新曲「人生泣き笑い/大阪ラブレター」をリリースする。
【リリース情報】
2025年6月18日 リリース
【ユーチューブ】
上沼恵美子ちゃんねる