上沼恵美子さん
(撮影:中西正男)
しゃべり一本で芸能界の先頭を走り続けてきた上沼恵美子さん。4月で古希を迎え、70代に入ったからこその苦悩と赦しを噛みしめているといいます。6月18日には新曲「人生泣き笑い/大阪ラブレター」をリリース。大きな節目で新たな一歩も踏み出しました。14歳から笑いの道を歩んできた中で噛みしめる今の思いとは。(取材・文・撮影:中西正男)

前回「漫才ブームを担った「B&B」島田洋八75歳が語る、運と芸人、相方のこと。頂点を極めた男が噛みしめる成功のカギ」はこちら

還暦とはまるで違う

私が22歳で結婚した時、姑さんは59歳でした。

11年経って古希のお祝いを東京の中華料理屋さんでやったんです。人生の節目ですから、親戚も呼んで、円卓もまわしたおして(笑)、豪勢にやらせてもらいました。その時のことは今でもハッキリと覚えています。

その時にね、つくづく思ったんです。姑さんも「歳いったなぁ…」と。身ぎれいにしてはりましたけど、それでも、さすがにもう年寄りの年代に入ったんだと感じました。

そして今、自分がその年齢になっている。そう思うとね、ショックですよ。還暦とはまるで違います。確実に“年寄り”というスタンプを押されました。寂しいもんです。

スタンプも押されたし、病気に向かう扉も完全に開いた。それも感じます。もうね、この歳になると分かるんです。なんというのかな、ワクワクするような楽しいことはないです。

週刊文春でやらせてもらっているお悩み相談の連載で、この前、夜中に目が覚めるという話があったんですけど、本当に寝られません。夜中3時に必ずトイレで起きます。手を洗う時に鏡を見たら「これ、私?」となります。イヤになります。