その時たった一度しか会ってないのに、僕がいろいろ問題になった時、ワイドショーで「あいつはこんなことで滅びる奴じゃないんだよ、根っからのかぶきもんなんだよ」って言ってくださった。ありがたかったですね。
もう一人の長男のことは、忘れた日は一日もありません。今はまだちょっと早いけど、陽喜と夏幹がもう少し大きくなったら、お父さんにはもう一人子供がいるんだよ、って、はっきり自分の口から伝えたいと思います。
まるで獅童ヒストリーみたいな話になったけど、その役者の中身が全部見えてしまうのが舞台であり、映像なんです。良いことも悪いことも、嬉しいことも悲しいことも悔しいことも、すべてがその人の役者像を作り上げていく。
歌舞伎には「腹芸」という言葉があって、特に時代物などは人間性の厚みみたいなものがないと、誤魔化しがきかない。お客さんもちゃんと見極めているんですよね、歌舞伎では特に。
それで第3の転機はやっぱり息子二人の初舞台。一つの楽屋で3台の鏡台が並んだ時、ああ、これが歌舞伎の親子なんだなぁ、と胸が一杯になりましたね。