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「もっと豊かになりたい」「もっと幸せになりたい」。そう願うのは自然なことですが、ふと気づくと「もっと、もっと」と、心が満たされないループに…。一方で「仕事、家庭、人間関係、そして自分自身。さまざまなことを乗り越え、あるいは抱えながら進んできたからこそ、求める幸せの形も少しずつ変わってくるのでは」と話すのが、アメリカでモンテッソーリ教育の国際免許を取得し、その後、2011年に幼稚園をシリコンバレーに設立した中内玲子さんです。今回その中内さんに、自分自身で心を満たすためのコツを教えてもらいました。
「足るを知る」
アメリカでの幼稚園運営、そして私自身の3人の子どもたちとコミュニケーションを重ねる中で、<幸せ>について考える機会が多くありました。その一方で自身の心を満たし、高い幸福度を覚えている彼らに共通するものも見えてきました。
あらためて、私がお伝えする「心を満たすコツ」は意外なほどシンプルです。
そもそもですが、「足りない」と焦りを感じているうちは、心はなかなか満たされません。しかし、「ああ、もうすでに豊かだったんだ」と気づいた瞬間から、人は本当の意味で自由になることができます。
これは、決して「我慢しましょう」「欲を捨てましょう」ということではありません。むしろ逆です。
「足るを知る」という言葉があります。これは、今の自分の周り、日々の暮らしの中に「すでにある輝き」を見つけ出す、成熟した大人のための豊かな視点です。
たとえば、丁寧に淹れた一杯のお茶の温かさ。窓辺に飾った小さな花が、ふと目に入ったときの愛おしさ。大切な人との間に流れる、言葉にしなくても分かり合える穏やかな空気。あるいは、日々の役割から少しの時間だけ解放され、ようやく深く息をつけるような、自分だけの静かなひととき――。
そんな、かつては見過ごしてしまっていたかもしれない日常の風景にこそ、幸せのもとは、確かに存在しています。