睡眠中に脳内のゴミが掃除される
認知症の人は脳内にアミロイドβというゴミが溜まっています。しかしアミロイドβが溜まる理由はまだ充分に解明されていません。
ゴミが溜まると脳の細胞が減り、「萎縮」に至ります。脳細胞内に溜まったアミロイドβは、夜間睡眠中に細胞内から血流に排出されます。家庭ゴミの収集車と同じようなイメージです。
ですから睡眠の質を保つことが肝要です。睡眠の質とは具体的には、レム睡眠とノンレム睡眠で構成される睡眠リズムを一晩に4〜6回繰り返すことです。
アミロイドβが脳内に溜まらないようにする薬剤や、すでに溜まってしまったアミロイドβを脳から排出するのを促す薬剤も開発が試みられていますが、どちらもあまりうまくいっていないようです。
繰り返しになりますが、アミロイドβの排出に効果があるのは、睡眠です。パソコンも使い続けているとゴミが溜まり動作が遅くなるので、時々クリーンアップが必要です。
それと同様に、脳内もクリーンアップが必要なのです。そのクリーンアップは、寝ている間に自動的に行なわれています。
この30年くらい、アミロイドβをターゲットとした治療の研究が行なわれてきましたが、限界があることがわかってきました。
そして最近はミエリンと呼ばれる脳の神経の鞘さやをターゲットにした治療戦略のほうが近道ではないかと言われ始めています。
脳内のゴミとしてアミロイドβ以外にタウタンパクがあることがわかっています。
いずれにせよ、ゴミの蓄積が認知症の原因になるので、とにかくゴミを蓄積させないように、睡眠や歩行などの生活習慣が重要です。