歩行を習慣にする(写真はイメージ/写真提供:Photo AC)

「毎日歩く習慣がある人は、それだけで認知症をはじめとする生活習慣病の大半を予防できる」町医者を30年、臨床医を40年務めた長尾和宏さんはそう断言しています。さらに長い距離を速く歩く必要はなく、スキマ時間にちょこまか歩くだけで十分であると言います。なぜ歩行が認知症予防にきくのか、その医学的な理由と、効果的な歩き方を教える書籍『歩く人はボケない 町医者30年の結論』より一部を抜粋して紹介します。

歩行習慣で知力が向上する

「文武両道」という言葉がありますが、運動をすると知力も鍛えられるという効果があります。

中高生は、塾にだけ通っていても知力は高まりませんので、運動をすることが大切と昔から言われています。ゴルフやダンスに励む高齢者も同様です。

かつて、脳トレドリルが一世を風靡しました。しかし残念ながら、脳トレドリルを使ってもあまり効果が期待できないというのが、今では専門家たちの一致した見解になりました。脳トレドリルは自分の脳の衰えをチェックする道具だと考えてください。

たとえば、「この絵とこの絵はどう違うでしょう」という間違い探しがあります。これを子供と一緒にやってみると自分の脳の状態がよくわかります。

子供はすぐに間違いを見つけられますが、大人はかなり時間がかかります。時間をかけても間違いを見つけられないようであれば、「だいぶ脳の認知機能が落ちているな」と気づくことができます。

脳トレドリルに費やす時間の、せめて半分でいいですから、歩行に充ててほしいと思います。