世界一失敗を恐れる日本の中学生
図2には、OECDのPISA調査から中学生の抱く失敗への恐れの調査結果を示した。関連3設問への回答を総合インデックスにした値では、日本が最も高く、オランダが最低、ドイツが下から2番目となっている。同インデックスを構成する3設問の1つである「失敗したときダメな自分を悔やむ」の回答率では、日本がやはりトップであり、最下位はドイツとなっている。
異なる機関が実施した異なる調査であり、対象も「成人」と「中学生」と異なっているにもかかわらず、日本やドイツに関して、ほとんど共通の結果となっている点に信憑性の高さが感じられる。
日本人が中学生の頃から世界一、用心深い性質をもっているとはやはり驚きである。
前で見たように英米や韓国は成人ではリスクテイキングであるのに対して、図2の中学生では失敗を恐れる性質をもっている。こうした国では、人は成長するにつれてチャレンジングになる人格形成を行うのであろう。
日本人が用心深く、失敗を恐れるというのは納得であるが、成人でも中学生でも日本とドイツがリスクや失敗に対する姿勢に関して正反対である点は、やはり、気になる。
ドイツの場合、慎重さがマイナスにならないように、失敗を恐れない気風を子どもの頃から養う国民性なのであろうか。いずれにせよドイツの場合、リスクテイキングの気風があるといっても、社会がチャレンジング(または無謀)をよしとする気風を持つ英米や韓国とは異なった脈絡で考える必要があろう。
※本稿は、『統計で問い直すはずれ値だらけの日本人』(星海社)の一部を再編集したものです。
『統計で問い直すはずれ値だらけの日本人』(著:本川裕/星海社)
日本人は世界でも変わっている、とはよく言われる。しかしデータを丹念に調べたとき、どのような意味で「はずれ値」なのか。
膨大な統計データを収集・分析し、社会経済動向を追い続ける伝説の統計サイト『社会実情データ図録』の管理人である著者が、「日本人」を真正面から分析したのが本書である。