高齢者は横断歩道が赤になる前に渡りきれない
加齢にともなう脚の筋力低下によって、歩行速度は遅くなっていきます。これを身近な例で考えてみましょう。
下の図は、高齢者が普段の速さで、歩行者専用信号機のある横断歩道を渡ったときを示しています。
日本の交差点では、1秒間に1メートル歩くことを標準にして、青信号の時間が設定されています。
この図の場合、道路の幅が10メートルとなっているので、10秒で渡りきれるなら、安全に渡ることができます。
しかし、(後期)高齢者は10秒で渡りきることができません。筆者らの研究では、80歳を超えると、渡りきる寸前に信号が赤に変わってしまうことがわかりました。
なお、この図の男性(80歳以上)は、普段の歩行速度の最遅値(一番遅い値)ではなく、平均値を基にしています。
それが何を意味するのかというと、70歳代でも(60歳代でも)、普段よりも急いで歩かないと信号が赤に変わってしまうケースがあるのではないかということです。
一般に、歩行速度は女性のほうが男性よりも遅いので、女性の場合、渡りきれない人が、男性よりも多くなります。
赤信号に変わる前に渡りきれないことが続くと、外を歩くことに自信がなくなり、外出を避けるようになります。その結果、筋力低下がさらに進行すると考えられます。
※本稿は、『すべての病気が防げる長生き歩き』(エクスナレッジ)の一部を再編集したものです。
『すべての病気が防げる長生き歩き』(著:青柳幸利/エクスナレッジ)
死ぬまで自分の足で歩きたい人、介護の世話になりたくない人のための本!
医療費削減にも役立つ「長生き歩き」で、あらゆる病気は予防できます!!