道南の繁栄

室町時代中期頃、北海道(当時の呼称は蝦夷地)の南、道南地域には、和人の豪族が「館」と呼ばれる根拠地を築いていました。これを道南12館と呼びます。

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たとえば12館の一つ、函館市の志海苔町にあった志苔館は貴族の万里小路家に仕えたという伝承をもつ小林氏によって経営されていましたが、発掘調査をしたところ、15世紀前半ごろを主体とする青磁・白磁・珠洲焼・越前焼・古瀬戸などの陶磁器が出土しました。

また館の南西方向100メートル地点から、越前焼、珠洲焼の大甕3つが見つかり、その中から計38万枚におよぶ銅銭が出土しました。

これは日本国内で発見された古銭としては、最大級の量となります。往事の栄えを覗うことができますね。