上級生になってからも

●入団後

「基本的に下級生時代いつも一緒に過ごしてました。
一見クールで、下級生時代はその部分が『もっと表情を出して』と言われる事も多かったように思いますが、あの感じでいて、かなり笑いのセンスに長けてます。
面白い場面を見た時、私たち同期はよく皆で『こんな事あったのー!』とシェアし合っていましたが、話す内容が基本的に凄く面白いです!
そしてこの部分は多分、仲良くならないと人にあんまり見せないのかな?とも思うので、隠れた魅力という感じです。
下級生時代の余興はちなつが笑ってくれたらコケないような気がして、私は自分で余興ネタを考えついた時、まずちなつに話して反応を見てました。」

ゆうきの余興センスは、ちなつのセンスでもあったのか…。
ちなつは、表情を変えず、さらっと言うことがなかなかのセンスで笑わせてくれる人です。

「あと昔からかなり人を見る観察力に優れています。
下級生時代の『この人のここの部分カッコいいから見て!』という報告をしてくれる部分がよく観察していないとわからないピンポイントな部分だったりしました。
人をよく見れる力をもっているので、上級生になってからも下級生の細やかな部分まで理解出来ていると思います。」

誰かの何気ない所作をしっかり捉えて「この人のここが素敵なんだよ」と言える、観察力と思いやりの持ち主。
ちなつの優しさはこういうところからも滲み出ます。

「また、月組は芝居の月組という事で、大勢芝居の場合は皆で集まって場面の気持ちの理解を深める自主稽古が多かったと思いますが、その場面の役の存在の仕方など、下級生一人一人聞かれていってそれぞれ答えるような場面の時、彼女の答えは理解の深いもので、ちょっと人と違う角度だったりしました。」

そこを掘り下げるのね、というような役作りは、独特だけど彼女ならではの細やかさで、なるほど!と思ったことが何度もあります。
表現に深さがある、それが鳳月杏という役者の強みなのでしょう。