2人の姉はほとんどサポートをしてくれなかった
認定がされても、それですぐに介護サービスが始まるわけではない。介護事業所からケアマネージャーに来てもらって、ケアプランを作成してもらい、契約を結ぶ必要がある。
H子さんとしては、母親の入院や介護申請などで職場に迷惑をかけていたので、なるべく早く介護を始めたかった。そこでケアマネージャーが早く来てくれる介護事業所にしようと探したが、なかなかすぐにというわけにはいかなかった。
ようやくやってきたケアマネージャーは、頼りない印象を受けた。H子さんが質問しても、明解な答えは返ってこず、スマホで調べる有様だった。それでも早い介護開始をH子さんは優先させた。
その間、2人の姉はほとんどサポートをしてくれなかった。「お母さんが大変なのよ」と電話しても「私も最近は体調がすぐれなくて、そんな余裕がないのよ」「こっちもまだ幼い子供を抱えていろいろ大変なんだから行けないわ」という返答だった。結局、母と同居しているH子さんが1人で背負い込むしかなかった。
H子さんは、仕事のある平日は母親にデイサービスを利用してもらい、夜と休日は在宅で看ることにしようと考えた。デイサービスは9時から17時までということでH子さんの出勤から帰宅までの時間のほうが長いので、玄関をナンバー錠にして、デイサービスの送り迎え担当職員に開け閉めをお願いした。
そうやって態勢を整えたのだが、母親がデイサービスに馴染めなかった。デイサービス施設では、みんなで合唱をしたり、風船つきゲームをしたりして過ごすのだが、「楽しくない。全然つまらない」という感想を述べ、1週間後には「行きたくない。ストレスが溜まる」と通所を拒み始めた。
すぐにケアマネージャーに電話連絡したが「御本人さんが嫌だとおっしゃるのなら、強制することはキビシイです」という答えが返ってきた。H子さんはその日の仕事を休み、ケアマネージャーに会いに行ったが「いい解決法があるのなら、私が教えてもらいたいです」とつれない対応だった。
しまいには「私が担当している要介護者は他にもたくさんいます。受け持ちできる上限いっぱいの人数を抱えているんですよ。H子さんのお母さんだけを担当しているわけではありません」と苛立ちを見せた。それでもH子さんはケアマネージャーに何度も頭を下げて、デイサービスの施設を変更してもらうことにした。