近山さん(中央)、佐々木さん(右)、櫛引さん(左)の3人は、20代の頃に出会って以来の友人。「ゆいま~る那須」で暮らしている(撮影:本社・武田裕介)
日本全国で40年にわたり、シニアハウスやサ高住を手がけてきた近山恵子さんは、現在も「誰もが安心して暮らせるコミュニティ作り」に情熱を傾けている。価値観の違う人々が集うからこそ、「ゆるやかなつながりが大切」という(撮影:本社・武田裕介)

前編よりつづく

暮らしたいように暮らす

元校舎の中を、「広場」取締役の佐々木敏子さんに案内してもらう。外部の人も気軽に利用できるカフェ、自然食品と野菜のマルシェ、アート・ブックギャラリー、衣料品店、交流ホールなどがあり、さながら小さな商店街のよう。書店やパンやケーキの工房もある。

さらに、近山さんたちの事務所、介護事業者、企業や入居者で仕事をしている人のシェアオフィスなどがあり、幅広い年代の人たちが往来している。

この2階建ての元校舎が「広場」事業の仕事、ボランティア活動、イベントなどの総合的な仕組みを考え、経済と文化の循環を生み出している。

そして、校舎の周囲の広い敷地に配置した高齢者住宅は3タイプ。1つは、元校庭に立ち並ぶコテージ風の住居で、60歳から入居できる自立型のサ高住。2つめは、要介護者向けのサ高住。3つめは、多世代賃貸セーフティネット住宅(子育て世帯の入居を断らない住宅)。サ高住は365日24時間の緊急対応で、介護から最期の看取りまで切れ目のないケアが受けられる。