30、40代から高齢社会を見据え、介護保険制度の成立を仲間たちと目指して、日本全国を走りまわりました。70代からは自分が「初めて体験する老い」に好奇心を抱いて奮闘。80代からは次第に足腰が弱って「ヨタヘロ期」に突入、玄関で転倒して顔面を強打するなど、情けないことも増えていきました。
そして、90代で乳がん手術という想定外のことにもみまわれました。正直、読み書きのスピードや話すスピードも落ちていきます。長年続けてきた連載や役職仕事も、一応、昨年末で一区切りつけました。
幼少のみぎりから意気軒昂でやってきた私も、しんどいときはしんどいのです。93歳のいまは、体調の波があります。「この会合だけは這ってでも行きたい」と考えていた大事な集まりも、当日の朝ベッドから出られず、泣く泣く欠席しました。
仕事の助手から「体がつらいですか」と訊かれたときは、「もう、息をするのも億劫で~す!」などと、つい本音をこぼしてしまうことも……。シルバー人材センターの方や助手が来ない日や、働いている一人娘がいない日中の自宅では、寝転がって本を読んだり、ソファでくつろぎながら猫を撫でたりしています。