妹の世話も引き受けることにした

私は4人きょうだいの長女。次女と長男は結婚して、三女は結婚をしたのち離婚して、再就職をして、通いやすいように原宿で私と一緒に暮らしていたんです。

でも、母の介護のために私は実家で暮らすようになったから、ときどき原宿の仕事場に行ったときに妹と顔を合わせるという感じになりました。

『田村セツコの私らしく生きるコツ 楽しくないのは自分のセイ』(著:田村セツコ/WAVE出版)

あるとき、妹と道を歩いていると、ちょっと変な歩き方をしていることに気づきました。「靴の具合がおかしいの?」と聞いたら、「べつに」。

そう聞いてなんだかおかしいと思った私は、すぐに彼女を病院に連れて行きました。でも、その場では原因はわかりませんでした。

妹が自分で調べてみたところ、どうも症状がパーキンソン病に近いのです。いくつか病院を転々として、入院したりもしたのですが、結局、実家に引き取って、母と一緒に私が妹の世話も引き受けることにしました。

二人の介護をしやすいように、右の部屋には母、左の部屋には妹、真ん中に私が寝るようにベッドを置きました。

妹は神経の病だったから、とにかく四六時中私のことを呼ぶのです。「枕が合わないから5センチずらして」とか、「腕の位置をずらして」とか。決してわがままで言っているのではないんです、本当に痛くてつらいの。

同様に、母からもトイレや身体の痛みなどを訴える声がかかるので、夜もぐっすりは眠れず、いつも睡眠は2時間くらいでストップ。そんな生活が6年間続きました。

当時まわりの人には、「あなたも倒れますよ」「ずいぶんくたびれた顔をしてるわよ」なんて心配されました。でも自分では全然気づかずに、自分のことはすっかり忘れ、母や妹に集中していた6年間でした。