室井 ふふふ。心不全は、どうやって負債を返済すればいいんですか?

伊藤 こちらも特効薬がないので、早めに対策するしかありません。基本的には、心臓がまだ元気なうちに、運動などで刺激を与え、収縮と弛緩の動きをしっかり促すことが効果的です。認知症を防ぐために、脳を活発に動かすのと一緒ですね。

室井 先ほど、夜中に目が覚めてしまうのも老化のサインというお話がありました。私、寝つきはいいんですけど、夜中に起きる回数が1回、2回と増えてきていまして。早朝に放送している時代劇を観るようになってしまいました。(笑)

伊藤 年を重ねると、寝る力も衰えます。ただ、睡眠が不足しているのか計測してみると、眠りが足りない人は実はそれほど多くないんです。気にしすぎると余計に眠れなくなるので、「今日ぐらいは眠れなくてもいいか。明日は眠れるかもしれないし」と、鷹揚にかまえたほうがいいですよ。

室井 私が編み出した対処法は、銭湯に行くことなんです。大きな湯船につかると、その夜はもうぐっすり。

伊藤 あまり聞いたことがない方法ですけど、いいかもしれません。ゆっくり体を温めると、緊張がほぐれるんでしょうね。それに銭湯の壁には富士山の絵があったりして、家のお風呂とは違う雰囲気を味わえますから、テーマパークに行くようなものですし。

室井 本当だ。(笑)

伊藤 そういう場に行ってワクワクするだけで、交感神経と副交感神経のバランスがとれるのでしょうね。

室井 それに、お風呂の中で必ず足の指のグーパー運動をするんです。つま先をグッと縮めて、パッと開く。最初はきれいに指が開かなかったけれど、続けるうちにきちっと開くようになって。歩く時に、大地を踏みしめる力もついたような気がしています。

伊藤 お風呂でリラックスして、歩行力も維持できるなんて一石二鳥ですね。私の患者さんにもすすめてみます。

後編につづく

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